病気の治療をしながら働くということ
病気の治療をしながら働く、これって特別なことなのでしょうか。「病気の治療と仕事の両立」は働き方改革の一つの項目となっています。
独立行政法人労働者健康安全機構では、すべての疾患を対象として、治療と仕事の両立支援に取り組んでおり、支援対象者と主治医、会社・産業医などの職場関係者をつなぎ、両立支援をサポートする「両立支援コーディネーター」の養成を行っています。
こにし社労士オフィス代表であります私も、両立支援コーディネーター基礎研修を修了し、事例検討にも参加をしています。
闘病中の上司から学んだこと
かつて、働いていた職場。がん闘病中の上司を持ったことがあります。がん治療では、病気による直接の影響のほか、抗がん剤治療や放射線治療が身体にダメージを与えることも多く、症状や治療のサイクルによっては、会社に出勤すること自体が辛い日もあります。デスクに座っていることすらできない日がやってくるんです。
同じ職場に出勤する上司、体調が極めて悪そうにお見受けする日もありました。闘病により、ラインの管理職ではなく、アドバイザー的な役割であった上司。対外的なやりとりが得意であった方です。相手先との対応に迷うときや部下や後輩への指導に悩むときにはこっそり相談をしたものです。上司の経験からいただく貴重なアドバイスは仕事をうまく回すコツでありました。
ほかにも、この上司からは大きな教えを受けました。
それは、仕事に真摯に向き合う姿勢です。体温調節が困難で、肩にブランケットを羽織りながら勤務されていた日がありました。会議への参加が難しいときは、押さえておくポイントを事前にわかりやすく教示いただきました。体調が不安定な中、できることをしっかりやる、果たせる役割を果たす。上司がそこに座っておられるだけで教えられたものだと思っています。
会社の規模や体制にもよりますが
以上のエピソードは市役所で働いていたときのものです。公務員という身分であったこと、組織の人数が多かったことなど、闘病しながらの就労を続けられる仕組みがあったことは確かです。会社の規模によっては、代替の人員やフォーロー体制が取れないこともあるかもしれません。
それでも、スキルや経験を身に付けた人材が「病気治療」が理由で働けなくなったとしたら、それは、貴重な資源の流出だと言えるでしょう。
個々の事情に柔軟に対応できる仕組みづくりを
病気の種類によって、治療方法によって、個人によって、治療の内容も影響も様々です。また、働く人個人が仕事を続けたいのかどうかはそれぞれ違います。生計の課題も違うでしょう。
当事者の要望を100パーセントかなえることは難しいかもしれません。
会社としてまず、できることは、「○箇月以上の休業で自然退職」「○時に出勤し○時間労働」といった一律のルールだけで判断してしまわないことです。
当事者から病状や就労への思いを聞き、主治医や支援者と情報を共有し、会社としてできることとできないことを検討する。利用できる制度は大いに利用する。ルールを可能な範囲で少し緩める。柔軟な対応で柔軟な働き方を検討できないでしょうか。
医療の発達により「治る病気」が増えています。また、折からの人手不足の状況があります。
「果たせる役割を果たせる範囲で」「できることをできる人が」これまでになかった柔軟な働き方を取り入れることで従業員の能力が最大限に発揮できる会社づくりにつながります。
ご相談はこにし社労士オフィスまで
市役所で福祉部門に関わった経験を持つ、病気と仕事との関係を理解した労務の専門家である社会保険労務士が対応いたします。
病気治療中の従業員の労務管理や働き方についてお困りの企業様は弊所までご相談ください。初回相談無料です。
オンラインでの面談にも対応しております。
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こにし社労士オフィスでは、治療と仕事の両立に取り組んでいます